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これまでの素形材産業技術賞

平成25年度 素形材産業技術表彰

第29回 素形材産業技術賞受賞者
平成25年11月1日 於 機械振興会館ホール
第29回素形材産業技術賞
(1)経済産業大臣賞(1件)
(2)素形材センター会長賞(5件)
(3)奨励賞(7件)
経済産業大臣賞「異形状・異材質薄板プレス積層法による自動車用各種センサー部品の開発」
  • 株式会社放電精密加工研究所 村田 力 殿
  • 株式会社放電精密加工研究所 山田 隆久 殿
  • 株式会社放電精密加工研究所 橋本 祐一 殿
  • 株式会社放電精密加工研究所 藤根 秋彦 殿
  • 株式会社放電精密加工研究所 本多 学 殿
  • 株式会社放電精密加工研究所 石川 悟 殿

<技術概要説明>
モーターの構成部品に代表される薄板プレス積層技術は生産性が高く立体形状を作る技術としては非常に優れた工法である。一般の積層技術は同じ形状の薄板を重ねる技術であり、製作される積層部品は円柱状に限定されていた。開発者は形状の異なる薄板を自動積層することができれば、三次元形状の部品を高い生産性で製作できると考え、異形状積層技術の開発を進めた。

本技術開発は、電子制御に移行し始めた自動車用センサー部品に数多く採用され、その中でもスロットルバルブ、アクセルペダルの回転角センサーへの採用例では、すでに1億個を越える量が搭載され、高い品質も評価されている。本技術で製作された部品は、単に三次元形状をつくり出すだけではなく、異なる材質の薄板を一体に積層するなどで、ひとつの部品に新たな特性を持たせ、より高い付加価値を生み出している。下記に実用化された代表的な部品を紹介する。



一般財団法人素形材センター会長賞「微細傾斜穴の三次元プレス工法の開発とインジェクタへの適用」
開発代表者
日立オートモティブシステムズ株式会社 郡司 賢一 殿
共同開発者
  • 日立オートモティブシステムズ株式会社 樋熊 真人 殿
  • 日立オートモティブシステムズ株式会社 吉田 三千夫 殿
  • 日立オートモティブシステムズ株式会社 福島 英樹 殿
  • 日立オートモティブシステムズ株式会社 田中 耕幸 殿
  • 日立オートモティブシステムズ株式会社 井上 常好 殿

<技術概要説明>
本開発技術は、自動車のガソリン筒内直噴エンジン用マルチホール式インジェクタの燃料噴射孔を、プレス加工でノズルに直接加工する技術である。
本インジェクタの燃料噴射部は、従来方式(1穴)に比べて多穴(6穴)・段付き・微細噴射孔となるため、工数の増加に加え、加工が複雑・困難となり、一般的には放電加工で生産されている。しかし、放電加工では加工時間が長く、加工面粗さにも限界があるなど、生産性と加工精度の大幅な向上が望まれた。

このためプレス加工を主体とした加工技術を検討し、球面部への段付き微細傾斜穴の鏡面プレス加工法、5軸制御サーボプレス設備等を開発し、試作から量産まで対応可能な汎用性のある三次元プレス工法を確立した。この結果、加工時間、設備投資を約1/5に低減し、さらにインジェクタの耐久性を向上させるなど、生産性と加工精度を大幅に向上させたモノづくりが可能になった。

本開発技術を適用したインジェクタは2008年から量産を開始し、現在、毎月50万本を生産している。また、本開発の三次元プレス工法は、新たなプレス技術として塑性加工の発展に寄与できると考える。



一般財団法人素形材センター会長賞 「アルミニウム-スチールハイブリッドドアの3Dロックシーム技術の開発」
開発代表者
  • ホンダエンジニアリング株式会社 佐々木 静哉 殿
共同開発者
  • ホンダエンジニアリング株式会社 奥中 啓之 殿
  • ホンダエンジニアリング株式会社 井場 崇之 殿
  • ホンダエンジニアリング株式会社 小林 康太 殿
  • 本田技研工業株式会社 野中 光男 殿
  • 本田技研工業株式会社 青木 稔 殿

    <技術概要説明>
    燃費と衝突安全性、双方からの要求を達成するため、超ハイテン材やアルミニウム(AL)および炭素繊維強化プラスチック(CFRP)といった材料置換を含んだ車体構造の改革が求められている。本開発は蓋物であるドアのアウターパネルだけをアルミニウムに材料置換するハイブリッドドア構造を可能にした技術である。

    スチールとアルミニウムという異種金属を結合する3Dロックシーム(3DLS)技術の開発によりスチール製のドアに対し約17%の軽量化を達成し、燃費や動力性能向上に寄与するとともに、車体外板部が軽くなることで、質量が車体の中心に集中することに加え、車両全体の慣性モーメントが低減し、操縦安定性の向上にも貢献した。

    今後は蓋物部品のドアのみならず、メカニカル結合技術として自動車車体の骨格部品など、多方面への適用も視野に入れ、生産性および商品性の向上に貢献していくことを期待する。

一般財団法人素形材センター会長賞 「熱処理が容易な高品質熱間ダイス鋼の開発」
開発代表者
  • 大同特殊鋼株式会社 河野 正道 殿
共同開発者
  • 大同DMソリューション株式会社 柳澤 民樹 殿
  • 大同特殊鋼株式会社 並木 邦夫 殿
  • 大同特殊鋼株式会社 瓜田 龍実 殿
  • 大同特殊鋼株式会社 越川 典弘 殿

<技術概要説明>
ダイカスト金型の長寿命化には、大割れ回避とヒートチェック軽減が必要である。このようなニーズに応えるため、「高い焼入れ性」と「高い熱伝導率」を具備する斬新な熱間ダイス鋼を開発した。

SKD61対比、開発鋼は焼入れ性が高いため金型内部まで高靭性となり、大割れを回避できる。また、熱伝導率が高いため熱応力が低減され、ヒートチェックが発生し難い。以上によって、金型寿命を延長できる。焼入れの設備や技術が十分でない地域で焼入れた金型でも安定して高靭性が得られることから、グローバルスタンダード鋼として世界標準化に貢献できる。開発鋼はNADCA規格にも登録された。

SKD61のダブルメルト材と比較し、バナジウム量の削減やシングルメルト化により省資源・省エネルギー・金型素材コスト低減を達成した。2012年度の販売量は1,800トンである。新興国での使用拡大や鍛造金型への適用によって、今後も世界的な普及が期待される。



一般財団法人 素形材センター会長賞 「超小型軽量ラウンドリクライナーを実現した小型モジュール高精度歯形成形法の開発」
開発代表者
  • シロキ工業株式会社 東 淳一 殿
共同開発者
  • シロキ工業株式会社 野田 優 殿
  • シロキ工業株式会社 東 伸匡 殿
  • シロキ工業株式会社 前田 憲輝 殿
  • シロキ工業株式会社 平山 和広 殿
  • シロキ工業株式会社 田安 昇 殿

<技術概要説明>
自動車シートにおけるラウンドリクライナーは、シートの角度を調整し、快適なドライビングポジションを可能にすると同時に、万が一衝突した際に乗員を保護する重要な機能部品の一つである。

本開発技術は、近年の低燃費ニーズに対応するため、ラウンドリクライナー自身の性能(モーメント強度)は維持しながら、小型軽量化(重量比▲45%)を達成するものである。
開発のポイントは、相反する性能と快適なポジショニングを確保する小型モジュール歯形(t=4mm、m=0.28)において、対向ダイスせん断法等の加工原理を利用した①ポンチの先端形状と②金型クリアランスの最適化である。これにより、従前塑性加工では商業的に不向きとされていた領域の小型モジュール歯形を全せん断面かつダレ量を極小に成形することを可能とした。本開発技術を適用した製品は、2012年9月より量産を開始し、現在、月産12万個を生産中。2015年度末には月産40万個に増産を計画している。



一般財団法人 素形材センター会長賞 「W、Coを用いない硬質材料の開発と金型への適用」
開発代表者
  • ダイジヱット工業株式会社 手塚 一博 殿
共同開発者
  • ダイジヱット工業株式会社 森 章司 殿
  • ダイジヱット工業株式会社 梶岡 彰 殿
  • ダイジヱット工業株式会社 出田 貴之 殿
  • ダイジヱット工業株式会社 河村 知紘 殿
  • ダイジヱット工業株式会社 宇都宮 和成 殿

<技術概要説明>
塑性加工や切削加工等の工具に用いられる超硬合金の主成分(W、Co)は地域偏在性が強く供給リスクが非常に高い。そこで安定供給可能な「Ti」に着目し、その炭窒化物である「TiCN」を主成分とした新硬質材料を開発し、平成21年頃から金型工具等に適用し始めた。 本材料は、低摩擦係数で無潤滑においても焼付きを生じにくい。粉末成形型に適用すると「かじり」が発生しにくいために長期間成形が可能になり、特に高密度圧粉が必要な焼結機械部品の成形等で使用量が増えている。

さらに潤滑効果を高める弊社独自の「潤滑促進化表面ディンプル処理」を併用することにより、「ステンレス板の絞りダイス」等のかじりが発生し易い工具においても長時間使用が可能となり好評を得ている。また超硬合金の4割程度の比重で軽量であることを活かした「可動ガイドローラー」等の需要も増加しており、さらに耐酸化性、耐熱性を活かした熱間鍛造工具等への展開も企画している。



経済産業大臣賞
一般財団法人素形材センター会長賞
一般財団法人素形材センター会長賞
一般財団法人素形材センター会長賞
一般財団法人 素形材センター会長賞
一般財団法人 素形材センター会長賞
奨励賞(7件)
開発代表者:アルミ基複合材鋳物のハイブリッド砂型低圧鋳造法の開発
開発代表者:株式会社田島軽金属 駒木 博 殿
共同開発者:株式会社田島軽金属 栗田 春男 殿・国立大学法人埼玉大学 独立行政法人理化学研究所 埼玉県産業技術総合センター

開発代表者:超薄型PC用ファンモータの低騒音含油軸受の開発
開発代表者:ポーライト株式会社 春成 健嗣 殿
共同開発者:ポーライト株式会社 黎 志光 殿・ポーライト株式会社 麻生 忍 殿

開発代表者:軽量化遠心クラッチ用焼結部品の開発
開発代表者:日立粉末冶金株式会社 中久木 偉樹 殿
共同開発者:日立粉末冶金株式会社 山田 淳一 殿・日立粉末冶金株式会社 熊谷 宏治 殿・日立粉末冶金株式会社 長坂 和重 殿

開発代表者:冷間鍛造による常時摺動型スプライン伝達機構の開発
開発代表者:協和工業株式会社 鬼頭 佑治 殿
共同開発者:協和工業株式会社 山崎 重浪 殿・協和工業株式会社 安永 高広 殿・協和工業株式会社 倉橋 大樹 殿・協和工業株式会社 久野 祐嗣 殿・協和工業株式会社 久野 敬次 殿

開発代表者:鉛フリー銅合金の減圧凍結鋳造法の開発
開発代表者:株式会社加藤製作所 青山 憲 殿
共同開発者:株式会社加藤製作所 安藤 政美 殿・株式会社加藤製作所 堀田 真義 殿・株式会社加藤製作所 村上 貴哉 殿・株式会社加藤製作所 稲垣 昌哉 殿

開発代表者:ダイカスト金型用耐久表面処理技術の開発
開発代表者:トヨタ自動車株式会社 菊池 亮 殿
共同開発者:オリエンタルエンヂニアリング株式会社 河田 一喜 殿

開発代表者:精密鋳造用セラミック中子製造技術開発
開発代表者:キングパーツ株式会社 三島 勝則 殿
共同開発者:キングパーツ株式会社 後藤 康二 殿・キングパーツ株式会社 石川 智朗 殿・キングパーツ株式会社 竹内 由子 殿・キングパーツ株式会社 大槌 奈々子 殿
一般財団法人素形材センター
〒105-0011
東京都港区芝公園3-5-8機械振興会館301号室
TEL.03-3434-3907
FAX.03-3434-3698
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