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素形材産業技術表彰

平成24年度 素形材産業技術表彰

第28回 素形材産業技術表彰受賞者
平成24年11月2日 於 機械振興会館ホール
経済産業大臣賞(1件) 「二層式砂中子による高速・高圧ダイカスト技術の開発」
開発代表者
  • リョービ株式会社 松浦 一也 殿
共同開発者
  • リョービ株式会社 古田 昌伸 殿
  • リョービミラサカ株式会社 山岡 宜雄 殿
  • 有限会社ウィンズテッ 案納 亨介 殿
  • 旭有機材工業株式会社 福原 睦博 殿

<技術概要説明>
ダイカストによる中空形状の成形は、強く望まれているものの崩壊性中子の強度と崩壊性の両立という困難な技術課題があった。本開発は、これらの技術課題を解決し、これまでにない長い中空経路を有する大型製品をダイカストで製造することを可能とした技術である。

高強度の外層と易崩壊の内層で構成される二層式砂中子と高圧の溶湯充填に耐えられる耐圧コーティングの開発により、高速射出速度2.4m/s、増圧圧力74MPa の鋳造条件でも中子が破損することなく平滑な中空内面が得られる。鋳造後は常温下で加振のみにより、最長260mm の中空経路から中子を除去することができる。従来の重力鋳造品と比較して、生産性向上、軽量化、材料歩留まり向上及び加工箇所の大幅減少を実現した。

現在小型トラック用エンジン部品として月当たり4,000台を納入しており、今後も重力鋳造品または低圧鋳造品のダイカスト化や溶接品の中空一体化などへの展開が期待される。
中小企業庁長官賞(1件) 「新潤滑法と無焼鈍冷間鍛造技術の開発」
開発代表者
  • 協和工業株式会社 鬼頭 佑治 殿
共同開発者
  • 協和工業株式会社 関 辰也 殿・高矢 弘章 殿・鬼頭 滋雄 殿・山崎 重浪 殿・久野 敬次 殿

<技術概要説明>
自動車用ステアリングジョイントには鉄板製が多く採用されていたが、パワステアリング機構が油圧から電動式になることで、ねじり剛性の高い冷間鍛造製が求められるようになった。しかし冷間鍛造の場合、加工時の潤滑性を向上させるために加工物の潤滑処理(ボンデ処理)を行う必要があると共に、廃水処理が障害となっていた。

本開発は、「ゆっくりつくることによりリードタイムを短縮する」をコンセプトに、製品性能の更なる向上と環境負荷低減、作業安全を目指し、①金型設計技術の開発、②冷間鍛造前の焼鈍を必要としない材料の応用技術開発、③塗布するだけで潤滑効果を発揮する装置の開発とプレス機のインライン化によるワンショット成形を実現することにより、冷間鍛造によるジョイント部品の製造を可能とした。また潤滑油の使用をなくすこ とで排水設備も不要となった。

本技術の確立により、小型で強靭な製品を一個流しでジャストインタイムに生産でき、不良率低減、コスト削減、及びリードタイムの大幅短縮が図られ、搬送用のクレーンやフォークリフトも不要となり、産業廃棄物レスをも実現した。
経済産業省製造産業局長賞(2件) 「自動車リチウムイオン電池用超薄金属箔切断金型の開発」
開発代表者
  • 日産自動車株式会社 三田村 一広 殿
共同開発者
  • 日産自動車株式会社 斉藤 雅基 殿・松苗 宏樹 殿・上田 春二 殿・清水 基男 殿・山本 啓介 殿

    <技術概要説明>
    本開発技術は積層構造をもつ自動車用リチウムイオン電池用の電極切断において、従来の切断方法では成し得なかったバリ・カエリといったコンタミを発生させずに切断を可能にしたものである。具体的には、S字形状をゼロクリアランスで切断するための金型技術を確立し、十分な電極切断品質の確保と切れ刃寿命の向上を実現した。

    このことにより、積層構造をもつ自動車用リチウムイオン電池として満足しうる電池寿命を確保しつつ、低コストでの生産を実現した。

    主な開発内容は、S字形状の切れ刃をゼロクリアランスで切断可能な金型構造とその金型製作方法、高精度を維持するためのメンテナンス方法、ゼロクリアランスの実現に必要な切れ刃材質選択、切断性を確保するための刃のシャープエッジ研磨加工技術、及びアルミニウム凝着を防ぐための表面処理方法である。

    現在、本技術を搭載した金型で自動車用リチウムイオン電池用電極の生産が行われており、今後海外生産拠点拡大においても本技術の適用拡大が期待される。
経済産業省製造産業局長賞(2件) 「管内面プラグ逐次押込み法による電動ステアリング用中空ラックバーの開発」
開発代表者
  • 高周波熱錬株式会社 山脇 崇 殿
共同開発者
  • 高周波熱錬株式会社 福原 哲一 殿・一色 信元 殿

<技術概要説明>
自動車の油圧パワステ(HPS)用で生産実績を有する中空ラックバーの生産技術を更に進化させ、要求仕様がより厳しい電動パワステ(EPS)用ラックバーを開発し、ラックバー本体とモーターを含めたステアリングシステムの軽量化を実現した。中空ラックバーは、パイプ材の一部を平らに潰し、そこに歯型を当て管内面にプラグを繰り返し押し込み歯型溝に肉を盛り上げ充填する独自の冷間逐次成形法で製作しており、HPS 用を主に10年間で1,000 万本超の量産実績がある。一方、最近増加中のEPS の場合、HPS 用ラックバーよりも更に歯丈や歯幅を大きくしたり可変ギアVGR(Variable Gear Ratio)化する必要がある。

本開発では新たなプラグ形状や歯型形状を見出すことにより、流動肉のより精緻な制御が可能になり、精度と強度は高周波プレスクエンチすることで確保し、1kg(約40%)の軽量化を実現したEPS 用の高強度中空ラックバーの生産に成功した。
一般財団法人 素形材センター会長賞(2件) 「環境対応型ルツボ式アルミニウムリサイクル炉」
開発代表者
  • 日本ルツボ株式会社 岡田 民雄 殿
共同開発者
  • 日本ルツボ株式会社 朴 龍雲 殿

<技術概要説明>
アルミニウムスクラップには表面に「油・樹脂(塗料)」などが付着しているものが数多く存在する。このようなスクラップは溶解段階で激しく黒煙が発生し周辺環境などが劣悪となり、再生に困難をもたらしている。また、このようなスクラップの再生は手順が複雑で、再生に必要な設備投資が多くなる。

本開発は前処理(ドライ、遠心分離処理)なしで、油分、水分などを含んだアルミニウムスクラップを炉1基で効率が良く、低コストで再生することを可能としたものである。 溶解過程で発生する煙で溶解雰囲気を還元雰囲気に変え、アルミニウムの回収歩留りを向上させた。また溶解過程で発生した煙を燃焼させ、その発生エネルギーで溶解ルツボを再加熱することより、省エネルギーを実現すると共に、煙を煙処理室と溶解炉の燃焼室で計2回燃焼することにより、煙突から排出するガスをクリーンなガスにすることに成功した。

この炉は構造が簡単で、実用に優れており、投資コストも少ないことから、アルミニウムスクラップが発生した現場で再生処理が行える。本開発炉は昨年から販売を始め、中国やタイ等アジア諸国でも脚光を浴びており、これから大きな市場性が見込まれる。
一般材段法人 素形材センター会長賞 「部分増肉プレス成形法による軽量低コストスチールホイールの開発」
開発代表者
  • トピー工業株式会社 藤岡 武洋 殿
共同開発者
  • トピー工業株式会社 野中 孝之 殿・松浦 悠介 殿・海老原 治 殿・豊橋技術科学大学 森 謙一郎 殿

<技術概要説明>
一般に乗用車用スチールホイールの軽量化には高張力鋼板が用いられるが、素材コストは上昇し、成形性は悪化すると共に薄肉化による剛性低下を伴う。

本成形法は新たに工程を追加することなく、ディスク絞り成形に用いる金型形状の工夫により強度・剛性向上に必要な部位を増肉し、絞り成形に用いる素材を5~10%程度薄肉化できる。その結果、軽量化と高剛性、高強度を両立させると共に、低コストなスチールホイールの製造を可能とした。

本法は絞り成形を用いたスチールホイール全てに適用できるため、発展性が高く将来性のある技術である。また設備投資が不要で、従来鋼板(JIS SAPH440グレード)で性能向上が図れることから海外展開も容易であり、車両軽量化の要素技術として地球温暖化防止へ寄与できる優れた技術である。

現在まで約74万本のスチールホイールが生産され、2012年10月から約75,000本/月の生産を計画している。今後は顧客ニーズに合わせた適用拡大が予定されている。
奨励賞(7件)
開発技術名:繊維分散強化耐火物を用いた高効率高純度アルミニウム溶湯供給装置の開発
開発代表者:有明セラコ株式会社 福丸 殿
共同開発者:有明セラコ株式会社 市川 宏 殿・柴田 研一 殿・長浜 博喜 殿・村山 洋介 殿

開発技術名:材料ロスを抑えた化学工業触媒部品の金属プレス加工技術の開発
開発代表者:桐栄工業株式会社 松井 紘彦 殿
共同開発者:桐栄工業株式会社 川口 定信 殿・石井 正浩 殿

開発技術名:層状共析組織を持つ摺動特性の優れた軸受用鉛フリー青銅の開発と実用化
開発代表者:株式会社明石合銅 明石 巖 殿
共同開発者:石川県工業試験場 舟木 克之 殿・株式会社カイバラ 荒木 淑司 殿・株式会社明石合銅 明石 隆史 殿

開発代表者:焼結歯車の表面層緻密化と高精度仕上げを両立させる転造技術の開発
開発代表者: 株式会社ニッセー 新仏 利仲 殿
共同開発者:株式会社ニッセー 天野 秀一 殿・長谷川 慎也 殿・佐々木 大士 殿 薄波 昭一 殿・劉 林生 殿

開発技術名:超微細粒組織をもつ高強度グリーンねじの開発と実用化
開発代表者:株式会社降矢技研 鈴木 由幸 殿
共同開発者:株式会社降矢技研 三枝 良一 殿・大阪精工株式会社 澤田 斉 殿・森川 勉 殿・独立行政法人物質・材料研究機構 鳥塚 史郎 殿・村松 榮次郎 殿

開発技術名:高靭性高快削性を有する鋳放しダクタイル鋳鉄材の開発と実用化
開発代表者:旭テック株式会社 小池 真弘 殿
共同開発者:ものつくり大学 鈴木 克美 殿・旭テック株式会社 高内 康弘 殿・中島 範之 殿

開発技術名:中空鋳型とフルモールド鋳造法を組み合わせた複雑形状部品鋳造法の開発
開発代表者:株式会社古久根 古久根 豊 殿
共同開発者:株式会社古久根 鈴木 孝治 殿・福山 竜一郎 殿・宮島 佑介 殿・清水 辰広 殿・コクネ製作株式会社 早川 晋司 殿
一般財団法人素形材センター
〒105-0011
東京都港区芝公園3-5-8機械振興会館301号室
TEL.03-3434-3907
FAX.03-3434-3698
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