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I.鉄鋳物コース

【第1部】 鋳鉄の生産技術 (ねずみ鋳鉄)

1.ねずみ鋳鉄の材質特性と用途(含 合金鋳鉄)

<講義内容>
この数十年の鉄、アルミ、銅、プラスティックの生産量状況を説明し、その中で鋳鉄は環境にやさしい材料であり、色々な用途があり、その中でも自動車用、産業機械用が多くその変遷についても述べている。
次に、ねずみ鋳鉄の黒鉛、基地組織ができる状況をわかりやすく説明し、それには化学成分、ガス、接種、冷却速度によって左右されることを説明している。
最後に、鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄を含む)の製造時の特性である引け性、湯流れについて解説し、次に機械的性質、物理的性質について球状黒鉛鋳鉄も含めて説明している。
講師名
近畿大学 理工学部 教授 木口 昭二

2.キュポラ溶解の実際

<講義内容>
溶解炉の歴史、即ちキュポラの生い立ちを先ず解説し、次にキュポラの溶解帯の形状、炉の径と溶解速度の関係、羽口及び羽口比、除幸樋と前炉、送風機及びその重要性、送風の制御、材料装入装置、炉体の水冷等キュポラの構造及びこれらとキュポラの能力、キュポラの操業との関係について説明している。
次に、溶解材料とその配合、コークス比と炉内反応の関係、送風の改善としての熱風、脱湿、酸素付加等操業に係わることについて詳細に解説している。
講師名
川口鋳物工業 協同組合 技術顧問 山中 昇

3.各種鋳鉄溶解法の最近の動向

<講義内容>
誘導炉溶解の原理、誘導炉の種類及びその構造の説明があり、次に、操業法の説明がされている。特に低周波炉ではスターティングブロックが必要でその大きさ等についても説明している。
また、低周波炉の溶湯、高周波炉の溶湯の性状をキュポラ溶湯と比較しながら解説しており、キュポラと加炭の状況が違うので、接種が大事であることを説いている。
次に、キュポラの最近の状況として、25週間にもおよぶ長時間操業が可能になり、その耐火物、バンキングの方法の説明、また、コークスレスキュポラについても説明している。
その他新しい溶解法として、純酸素バーナーを使った回転炉を紹介している。
講師名
近畿大学 理工学部 教授 炭本 治喜

4.ねずみ鋳鉄の不良と防止対策

<講義内容>
鋳物の不良の種類とそのメカニズムについて簡単に説明し、次に不良対策の効果として、CDQ(Cost, Delivery, Quality)のすべてにプラスになることを説明している。
それではどのようにして不良対策をしていくべきかということに対する取り組み方、心構えについて述べている。
次に、講師が経験した焼きつき、ざく巣、ピンホールの各不良の対策事例について詳細に解説し、同時に溶解材料や砂はどうあるべきかについても述べている。
講師名
(社)日本鋳造 工学会 事務局 次長 伊豆井 省三

5.品質保証とねずみ鋳鉄の炉前試験(溶解)

<講義内容>
ねずみ鋳鉄の溶解を高周波炉で行い、温度測定を実習し、次に、冷却曲線をCEメーターで取り、初晶温度、共晶温度、過冷について学び、接種を行うことによってこれらが変化していく状況を読み取る。また、3カップ法での冷却曲線から読み取れる事柄についても実習する。
採取した試験片の顕微鏡組織を観察するが、先ずは腐食しないで黒鉛の状況のみを観察し、次に腐食をし基地組織について観察する。また、同時に採取したチル試験片を折り、チル深さを測定する方法を学ぶ。
講師名
川口鋳物工業 協同組合 技術顧問 山中 昇
(株)木村鋳造所 開発部長 菅野 利猛
(株)木村鋳造所 開発部 阪口 知
(財)素形材センター開発研究所 高橋 昌太郎

6.品質保証とねずみ鋳鉄の炉前試験(材料試験、顕微鏡組織、CEメーター)

<講義内容>
顕微鏡観察の方法について全体的に説明し、次に顕微鏡組織を取るまでの各工程を「エメリー紙研磨」「回転バフ研磨」「水洗・乾燥・スタンプ」「顕微鏡観察」「エッチング」「顕微鏡写真撮影」に分け、各工程での注意点、勘所を説明している。その後実際の作業を各工程ごとに撮影してあり非常に分かりやすい。
講師名
川口鋳物工業 協同組合 技術顧問 山中 昇
(株)木村鋳造所 開発部長 菅野 利猛
(株)木村鋳造所 開発部 阪口 知
(財)素形材センター開発研究所 高橋 昌太郎

7.鋳鉄溶解の考え方

<講義内容>
本講義では、始めに、“鋳鉄とは何か”を説明し、その本質は黒鉛の存在にあることを指摘する。鋳造材料である鋳鉄は“溶かす”ことから始まるので、この肝心の「溶解の考え方」を講述するが、その本質が黒鉛にあるので、材質にとって最も好ましい形で黒鉛が晶出する“良い性状の鋳鉄溶湯”を溶製するための理論を説明する。
黒鉛の晶出は“不均質核生成”によるので、それに関与するサブストレイトの消長に対する成分元素、溶解温度、そして時間の影響を詳述する。その上で、キュポラ溶湯と低・高周波炉溶湯との性状の違い、そしてその根拠を明らかにし、鋳鉄溶解の理論と実際を解説する。
なお、映像を見ながら、本講義の教科書「鋳鉄の生産技術」の第1章1「鋳鉄とは何か」、第3章1「鋳鉄溶解の基礎」、3.3「低・高周波炉の性状と溶湯管理」を参照されれば、より理解が深まるであろう。(本講義用補足資料あり)
講師名
近畿大学 名誉教授 中村 幸吉

【第2部】鋳鉄の生産技術(球状黒鉛鋳鉄)

1.球状黒鉛鋳鉄、CV黒鉛鋳鉄及び合金鋳鉄の材質特性と用途

<講義内容>
先ず、鋳鉄と鋼の違いから始まり、鋳鉄を構成してしる黒鉛、基地組織の種類及びその生成について詳細に解説している。また、各鋳鉄の機械的性質が何によって決まってくるのかを片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄について、黒鉛形状、基地組織がどう支配的要因になっているかを分かりやすく説明している。
次に、球状黒鉛鋳鉄、CV黒鉛鋳鉄及びオーステンパー球状黒鉛鋳鉄の製造法及び性質、用途について解説している。
講師名
岩手大学 工学部 材料物性工学科 教授 堀江 皓

2.溶解及び溶湯処理法

<講義内容>
球状黒鉛鋳鉄の溶湯として良い性状とはどのようなことかを、まず黒鉛の核生成を説明し、球状化していて、引けが少なく、チルの出にくい湯がよいことを述べている。
溶解法では主に誘導炉溶解について説明し、誘導炉の原理、高周波・低周波炉の違いを解説し、良い湯を得るには成分元素の制御、銑鉄の利用、良い加炭材の使用等が必要であるとしている。
溶湯処理では、接種の原理、接種のフェーデリング、接種法の種類、また球状化法の種類及びその特徴を説明している。最後にCV鋳鉄の溶製法についても述べている。
講師名
自動車鋳物(株)取締役 鋳造技術部長 宇塚 恭治

3.鋳鉄の熱処理(含 可鍛鋳鉄)

<講義内容>
鋳鉄の熱処理のなかで可鍛鋳鉄の熱処理は特殊で先ずこの熱処理を説明し、次に片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄の熱処理に焼きなまし、焼き入れ・焼き戻し、応力除去焼きなまし、焼きならし等について、またいくつかの熱処理炉について例を示し解説している。次にオーステンパー球状黒鉛鋳鉄(ADI)について、各国の機械的性質の規格について説明し、優れたADIにするための化学成分、黒鉛粒数等について解説し、最後にADIの種々の用途について例を示して説明している。
講師名
(有)日下レアメタル研究所 顧問 千田 昭夫

4-1.品質管理の進め方

<講義内容>
まず、球状黒鉛鋳鉄の自動車における使用例を説明し、その各々の部品に必要な機能を説明。次に、球状黒鉛鋳鉄の要求機能及び機能を満足させるために、製造において何を管理すべきかを述べている。
さらに球状黒鉛鋳鉄の作りこみ時の品質管理(要因系)と鋳造後の検査等による品質管理(結果系)について詳細に説明している。
講師名
日産自動車(株)第4技術課 主担 小笠原 宏明

4-2.球状黒鉛鋳鉄の不良とその対策

<講義内容>
まず、球状黒鉛鋳鉄の不良対策の進め方について経験と感だけではなく、科学的な観察による不良の特定、3現主義での観察、なぜなぜ分析での原因追求などが大事であることを説明しており、この原因追求がきちんとできれば、不良対策は「終わったも同然」とその重要性を説明している。
次に、球状黒鉛鋳鉄で問題になる引け巣不良、球状化不良、ピンホールの3つの不良について、発生メカニズムを説明し、その対策について詳しく説明している。
講師名
日立金属(株)真岡工場 技術開発グループ グループ長 岩永 徹

5.球状、CV黒鉛鋳鉄の溶解と溶湯処理実習(1)

<講義内容>
球状黒鉛鋳鉄の溶解実習にあたり、先ず溶湯の温度を測る温度計、溶湯性質を知るためのCEメーターについて原理及び使い方の説明をし、続いて配合、球状化処理法を説明。その後、現場で溶解し、温度を測り、フェーディングの様子を示している。
また、CV鋳鉄について説明し、CV鋳鉄を作る方法についても詳細に説明している。
講師名
(社)日本鋳造工学会 事務局長 野口 昌彦
旭テック(株)研究開発部長 鈴木 克美
(有)日下レアメタル 研究所 取締役技術部長 鹿毛 秀彦
埼玉県産業技術 総合センター 主任研究員 永井 寛
(財)素形材センター開発研究所 高橋 昌太郎

6.球状、CV黒鉛鋳鉄の溶解と溶湯処理実習(2)

<講義内容>
熱分析とは液体から凝固していく時の冷却曲線から色々分かることを状態図を使いながら、分かりやすく説明している。
次に、現場でCV鋳鉄の溶製実習を行う。CV鋳鉄を溶製するには色々な方法があるが、この実習では球状化処理溶湯と未処理溶湯を合せ湯で作る方を説明している。また、溶解しながらCEメーターを使っての冷却曲線の記録と、CE値の読み方を勉強する。
試料がとれたあと、この溶湯の材質試験を行うにあたって破壊試験と非破壊試験の種類とその説明をしている。特に、発光分光分析、音速による球状化判定については詳しく解説している。
講師名
(社)日本鋳造工学会 事務局長 野口 昌彦
旭テック(株)研究開発部長 鈴木 克美
(有)日下レアメタル 研究所 取締役技術部長 鹿毛 秀彦
埼玉県産業技術 総合センター 主任研究員 永井 寛
(財)素形材センター開発研究所 高橋 昌太郎

7.球状黒鉛、CV黒鉛鋳鉄の組織観察、音速測定、発光分光分析

<講義内容>
球状化判定法、組織観察法についての解説を行い、そのあと、前の実習で作ったフェーディング試料、段付試験試料を使い、研磨から先ずは腐食無しで黒鉛形状を観察、写真撮影し、次に腐食して再度組織観察、写真判定する方法を実習風景を通して説明している。
次に、超音波を利用し音速で球状化率を求める方法、発光分光分析を用いての化学成分分析法を説明している。
最後にまとめとして、前巻で行ったフェーディング試料、肉厚の違う試料を本実習で見た顕微鏡観察、音速測定、化学成分分析結果等にどのようにあらわれ、それがどのようなことかを解説している。
講師名
(社)日本鋳造工学会 事務局長 野口 昌彦
旭テック(株)研究開発部長 鈴木 克美
(有)日下レアメタル 研究所 取締役技術部長 鹿毛 秀彦
埼玉県産業技術 総合センター 主任研究員 永井 寛
(財)素形材センター開発研究所 高橋 昌太郎

【第3部】鋳鉄の生産技術(鋳造方案)

1.方案の基礎(湯口方案)

<講義内容>
鋳鉄の鋳造法を考える時にまず湯口方案の機能を考えなければならない。それは溶湯の分配であり、鋳込み時間を決めることになり、異物を分離することであることを説明し、その機能の基本を物理的な原理、原則に基づいて説明している。特に鋳造の基礎である湯口系の中の湯の流れについて流体力学で、そして、熱の要素も加え、例をあげる。また、種々のデーター、計算によって理論的に詳しく述べている。
講師名
松田技術士事務所 松田 政夫

2.方案の基礎(押湯方案)

<講義内容>
押湯方案を知るには、まず溶湯の凝固について知らねばならず、鋳鋼はスキンフォーメーションタイプで、球状黒鉛鋳鉄はマッシータイプで、ねずみ鋳鉄はその中間の形で固まるので、その違いを知って方案を考えなければならない。また、凝固時のねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄の収縮、膨張について、説明している。
次に形状による凝固の違いを形状係数、モジュラスで説明し、1~2の製品を例にとって押湯を付ける時の考え方について説明している。
講師名
松田技術士事務所 松田 政夫

3.ねずみ鋳鉄の大物鋳造方案

<講義内容>
大物鋳鉄の鋳造方案の意義から始まって、先ずは製品図面を正しく理解することが重要であることを説明し、そのあと、いくつかの大物鋳鉄の例と、その鋳造法及び鋳造方案を示し説明している。
次に不良を出さないようにするには、日常の機器等の点検が必要であり、定期的な精度の確認を行うことが重要であることを述べている。また、大物鋳物特有の問題として、金枠と引けの関係、溶湯の確保についても説明している。
講師名
(株)山水 泉大津事業所 所長 北辻 彦嗣

4.球状黒鉛鋳鉄の大物鋳造方案

<講義内容>
球状黒鉛鋳鉄の大物鋳造品を作る時に考えなければいけないことを、先ず述べ、次に球状黒鉛鋳鉄の凝固と引けについて、片状黒鉛鋳鉄や鋳鋼との違いを説明し、球状黒鉛鋳鉄で引けがでないようにするにはどうするかについて詳細に述べている。
また、引けにばかり注意してC%を高くするとドロス不良が出るので、注意を要するとしている。また、大物球状黒鉛鋳鉄の場合は、その他フェーディング、質量効果、チャンキー黒鉛等の欠陥についても、注意が必要であることを説明している。
次に、先ずは模型方案としてどちらを上型にし、仕上代をどうすべきか等について説明し、次に押湯方案(冷やし金の使い方を含む)、湯道方案について解説している。
講師名
近畿大学理 工学部 教授 木口 昭二

5.球状黒鉛鋳鉄の中、小物鋳造方案

<講義内容>
球状黒鉛鋳鉄の中・小物鋳物に現れる鋳造不良と方案の関係を多くの具体的な不良を使って説明し、それらの不良を出さないようにするには、鋳造方案はどうあるべきかということを豊富なデーターを用い、また、ねずみ鋳鉄との対比で湯口方案、押湯方案はどうあるべきかを、基本から応用まで詳しく説明している。特に、押湯方案についてはモジュラスを使い、押湯なしにするにはどうすべきかを解説し、歩留まり向上の参考になる。また、押湯が使えない場合等に冷やし金を使うがその使い方についても説明している。
講師名
(有)張技術事務所 張 博

6.特殊鋳造方案

<講義内容>
DISA造型機を中心とした縦型鋳造法による方案の考え方、及び、アルミの縦型鋳造法であるジェミニプロセス鋳造法の紹介と、鋳造方案の説明を行っている。また、同じような縦型鋳造法ではあるが型をたくさんならべて一度に鋳造するHプロセスについて説明し、その鋳造方案の考え方について説明している。
最後に消失模型鋳造法の説明及び方案の考え方を説明している。
特に各鋳造法の湯の流れ方について詳しく述べ、それを踏まえた鋳造方案について詳しく説明している。
講師名
内外マリアブル(株) 木村 徹

7.コンピュータを使用した鋳造方案

<講義内容>
CADとは、どのようなものかを、実際のCAD画面を使って説明するとともに、CADで何ができるかについて、模型を設計するCAD、CADデータを使って模型やシェル形を作るRP(Rapid Prototyping)法について説明している。
次に、コンピュータシミュレーションとして凝固解析、湯流れ解析、熱応力解析について説明している。特にこの中でも凝固解析について詳細に述べ、どのような理屈でシミュレーションが行われるかについて解説している。
講師名
コマツ生産技術開発センター 加納 慎也

【第4部】鋳型の生産技術

1.生型造型法概論

<講義内容>
鋳物工場で生型造型法をうまく適用するには、鋳型の役割を理解し、生型造型の各工程で必要とする生型砂の性質を十分把握したうえで、調達の容易な材料を選択し、製作課題(鋳物)に適合した効率のよい造型法(造型機)を採用することである。
本講座では、そのために必要な生型用原材料の特性と使用済み生型砂の再生法を述べ、繰り返し使用の過程で発生する生型の代表的な造型不良と鋳物に発生する欠陥の対策例を示し、そのうえで具体的な生型の造型法を紹介する。
講師名
元(財)中部科学技術センター 太田 英明

2.生型砂の処理システムと管理

<講義内容>
生型砂の理想的な姿とはどういうことかを念頭におき、砂処理システムの代表例から、工程上の管理ポイント、注意ポイントを説明する。また砂処理設備の紹介と管理ポイントを実例をもとに説明する。また、砂に大きく影響を与える微紛量の管理について、その発生機構、管理方法を述べる。生型砂のばらつき改善のため予備混練を導入した実施例についても紹介する。
不良対策として一般的なさしこみ、焼付き、掬われ、砂入り、ガス欠陥、寸法不良等について、その発生メカニズムと現象を模式図的または実施例(写真)で説明する。また一部欠陥の判定方法についても紹介する。
具体例として、実際生産している鋳物の不良の現象と主な対策例について説明。
寸法不良についても、その発生の機構や鋳型の充てん度との関係、造型方法の違いによる比較についても紹介する。
講師名
三菱自動車テクノメタル(株) 本田 勉

3.鋳物砂の試験方法とその実習

<講義内容>
粘土分試験(全粘土分)、粒度試験、通気度試験、圧縮強度試験(湿態坑圧力)、水分試験、強熱減量試験、JIS以外の試験として、活性粘土分、コンパクタビリティ、表面安定性試験、シリカプログラム試験(組成試験)について説明している。
常温鋳物砂試験として、砂水分、湿態坑圧力、コンパクタビリティ、通気度、充填密度について説明している。
活性粘土分として、メチレンブルー吸着法について説明している。
講師名
(株)ホージュン 峯田 俊明

4.自硬性鋳型

<講義内容>
自硬性鋳型の歴史について簡単に触れ、大別して有機自硬性鋳型と無機自硬性鋳型に分類され、詳細な分類は、図表で種類とそれぞれの主な成分を説明。
有機自硬性鋳型はフラン自硬性、フェノールウレタン自硬性、アルカリフェノール自硬性、アルキッドウレタン自硬性、フェノール酸硬化自硬性、ポリオールウレタンについて、無機自硬性鋳型は主にダイカル自硬性、水ガラス有機エステル自硬性、Nプロセスについて、それぞれの概要と特徴、及び常温特性、熱間特性、残留特性(崩壊性)について対比して説明。また鋳型種類による熱膨張量、高温なりより性、深部硬化性等と鋳鋼に関しては浸炭特性、浸硫特性も対比して説明。さらに鋳造欠陥対策についても簡単に触れる。
また自硬性鋳型の砂管理についても鋳型の種類と鋳物材質別に砂管理の基準例を説明する。
講師名
神戸理化学工業(株) 横井 満雄

5.特殊鋳型(中子)概論

<講義内容>
特殊鋳型には多くの種類があるが、今回は、化学粘結砂の鋳型について述べる。
化学粘結砂の鋳型は、熱硬化性鋳型、ガス硬化性鋳型、常温自硬化性鋳型に分類される。
熱硬化性鋳型の代表はシェルモールド、ホットボックス鋳型である、ガス硬化性鋳型は、CO2鋳型アミンコールドボックス等があり、常温自硬化性鋳型はフラン鋳型、フェノール・ウレタン鋳型、フェノール・エステル鋳型等があり、其々に特長を持ったプロセスなので選定基準を把握しておく事が肝要である。
又、プロセス選定に重要な事は生産性、品質はもとより、生型への混入、リサイクルなど自然環境への影響を考慮する必要がある。
特殊鋳型を中子に使用する場合は熱間強度が高く、熱膨張
が少なく、ガス発生量が少ない等のほか、鋳型材質への影響のない事(球状黒鉛鋳鉄の球状阻害、ステンレス鋼への浸硫等)が要求される。
中子に起因する欠陥及び対策では、其々の欠陥に対する手は打たれるが、多くは要因が複合されているため注意が必要である。
最後に、最近開発されたプロセスとしてGMBOND法、Hy-dro BOND法、Beach Box等の崩壊性に優れたものが出来てきているので注目されたい。
講師名
自動車鋳物(株)品質保証部長 鈴木 伸二

6.作業環境及び廃棄物処理

<講義内容>
  1. 環境の歴史
    地球規模の環境問題や産業・経済の発展と環境課題について説明する。
  2. 環境関連規制
    環境規制に関連する各種の法律の構成について説明する。
  3. 環境管理
    ISO14000等の環境管理システムの役割について説明する。中小企業におけるISO取得の問題点にも触れる。
  4. 問題と対策
    鋳造業界の環境問題と対策、各国鋳造工場の作業環境評価分類について説明する。また、工場内の除塵集塵対策について説明する。
  5. 廃棄物処理
    廃棄物削減の4原則、ごみゼロ活動の基本等について説明する。
講師名
新東工業(株) 増野 修

【第5部】鋳鋼の生産技術

1.炭素鋼鋳鋼の材質特性

<講義内容>
ここでは鋳鋼入門として鋳鋼品の種類を紹介し、鋳鋼品の基礎的な特徴と炭素鋼鋳鋼の材料特性を説明する。鋳鉄と比較した鋳鋼の特性と鋳鋼品の製造工程と品質の造り込みを示し、鋳鋼品の特徴をとらえる。
炭素鋼鋳鋼に関するJIS規格、物理的、機械的性質を主要元素との相関で体系的に説明する。鉄―炭素系状態図から金属組織、凝固現象、熱処理について、その基本と材料の機械的性質、健全性、製造への応用について説明する。また、製品の大きさによる質量効果について説明し、製品の信頼性を考える必要を示す。
溶解精錬では、鋳鋼品の溶解方法の種類と使用される炉、及びその特徴について解説する。また、精錬の目的と精錬の詳細工程と各工程での原理を説明する。真空精錬等の特殊精錬法について説明するとともに、精錬作業と砂かみ欠陥等の関係についても紹介し、精錬工程の重要性を示す。
講師名
(株)日本製鋼所 鋳造部長 津村 治

2.炭素鋼鋳鋼の溶解、精錬技術と炭素鋼鋳鋼品の後工程と品質管理

<講義内容>
ここでは炭素鋼鋳鋼品を鋳込んでから部品として完成させるまでの種々の製造工程とその特徴、目的と技術的背景を説明するとともに、品質保証の為の品質管理について述べる。型バラシから鋳仕上げについては、材質や質量による作業の注意点と熱扱いの重要性を説明する。溶接作業については実際の溶接要領書の例を示し、溶接に必要な規格や溶接欠陥とその防止方法等について示す。
熱処理については、材質特性からの見方ではなく、経済的、材料特性以外の品質特性の確保という観点から、どのように熱処理工程を計画するかという考え方を説明する。
非破壊検査、試験、検査については、種々の規格の考え方や、実際に適用する場合の注意点等を示す。これらの後工程をふまえて品質管理の考え方、品質保証システムの種類とその差異について説明し、鋳鋼品製造への実際の適用例について示す。
講師名
(株)日本製鋼所 鋳造部長 津村 治

3.耐食鋼鋳鋼の材質特性、製造技術及び製品用途

<講義内容>
土壌、水、化学薬品中などで腐食及び錆に耐える材料として、銅、アルミニウムなどの非鉄金属が有効に使用されます。非鉄金属程の耐食性はないが、高強度、低価格な材料として、ステンレス鋼などの高合金鋼が開発されている。ステンレス鋼は、鉄は錆びて消失するものという常識を覆した画期的な発明品である。ステンレス鋼は、マルテンサイト形、フェライト形、オーステナイト形などの金属組織に分類され、腐食環境の程度、必要な強度に応じて選択でき、熱処理、溶接、非破壊検査、熱膨張に関しても、各々の金属組織特有の性質を考慮して製造することになる。また、二つの金属組織を混合して二相合金とした場合は、その混合した比率に応じて特徴が得られ、合金することにより優れた特性を付与されるが、脆化温度、炭化物析出、応力腐食など考慮すべき弱点もある。
講師名
日立協和エンジニアリング(株)設備エンジニアリング部 技術サービスG 副部長 川上 正夫

4.耐熱鋼鋳鋼の材質特性、製品用途及び製造技術

<講義内容>
耐熱鋳鋼は耐熱性という機能と、鋳物の特徴である合金設計及び形状設計に対する高い自由度を融合した工業材料で、今後とも産業上重要な位置を占めるものと考えられる。
本講義は耐熱鋳鋼の金属学上の基礎、材質特性、用途及び基本的な製造技術について概説したもので、以下の内容で構成される。
1.はじめに 2.金属材料および耐熱鋼の基礎 3.耐熱鋳鋼の材質特性、製品用途 4.耐熱鋳鋼品の製造技術
講師名
日本鋳造(株)技術研究所 所長 半田 卓雄

5.耐摩耗鋼鋳鋼の材質特性及び製造技術

<講義内容>
破砕機や粉砕機に使用される耐衝撃摩耗用鋳物についての講義。これらの機械は使用中に過酷な衝撃摩耗を受けるため、破砕歯に相当する部分に合金元素を多く添加し硬さなどを高めた特殊鋼鋳鋼・鋳鉄が使用されている。本講義では、一般にこれらの機械に広く使用されている高クロム鋳鋼・鋳鉄及び高マンガン鋼鋳鋼について、その材質特性、生産技術を中心に以下の順に述べている。
  1. 高クロム鋳鉄及び鋳鋼・高マンガン鋼鋳鋼等の成分範囲
    用途、耐摩耗性の比較
  2. 高クロム鋳鉄・鋳鋼の材質特性と生産技術
  3. 高マンガン鋼鋳鋼の材質特性と生産技術
  4. 使用されるプラント・機械と部品例の紹介
特に、材質特性では成分系と耐摩耗性、熱処理条件と硬さ、ミクロ組織および機械的性質等について説明するとともに、生産技術では各材料の製造工程に沿って製造上の管理ポイントを中心に説明している。また実際の製品を製造した時の各種データや失敗例などもあり、製造を担当する人にとっては役に立つ講義となっている。
講師名
川崎重工業(株)破砕機 ビジネスセンター 製造部長 田村 朗

6.鋳造方案の基礎と鋳型概論

<講義内容>
本講義では鋳造方案の基礎として、鋳造方案立案時の方針の決定、模型方案、指向性凝固理論、製品形状に応じた押湯・冷し金・湯口系の設計及び模型のあり方について述べ、更に不適切な鋳造方案によって発生した欠陥についても事例紹介している。鋳型については、原料砂の特性、生型、熱硬化鋳型、ガス硬化鋳型、自硬性鋳型について、それぞれの特徴(利点、欠点)等を解説している。
講師名
(株)神戸製鋼所 鋳鍛鋼事業部 製造部 鋳造室長 久保 晴義

7.鋳鋼の鋳造方案演習(1)

<講義内容>
教科書「鋳鋼の生産技術」の副読本として、受講者に配布された下記テキストに基づき講義が行なわれている。
講義は、1.押湯(パディング及び冷し金を含む)設計方法 2.湯口系の設計方法 3.小型鋳鋼品の押湯及び湯口系の設計方法 等から構成されているが、単なる演習ではなく、これを通じて鋳造方案の基礎理論の理解が一層深められると共に、この理論を縦横に駆使(適用)できるまでの技術力が養成されるように講義されている。
また一方、製品の品質を確保しつつ、いかにコスト低減を図るかの見地においても解説が加えられている。
講師名
元(財)素形材センター テクニカルアドバイザー 大島 敏和

8.鋳鋼の鋳造方案演習(2)

<講義内容>
教科書「鋳鋼の生産技術」の第5章の1. 8鋳造方案演習及び、この講座の受講者に配布された上記教科書の副読本ともいうべき下記テキストに基づき行なわれている。
講義は、1.鋳鋼の取鍋方式と湯口系方式の関係2.小物鋳造方案の実例3.中物鋳造方案の実例4.鋳造方案演習から構成されているが、冒頭に湯口系設計の前提条件とも云うべき、鋳鋼独特のストッパー式取鍋による鋳込方式が理論的に解説され、湯口系設計の考え方の基本が明示されている。
次いで鋳造方案の実例等が紹介されているが、いずれも鋳造方案の基礎理論の理解の深化を図ることが主眼とされている。
講師名
元(財)素形材センター テクニカルアドバイザー 大島 敏和

9.鋳鋼品の鋳造方案作成工程における重要検討事項及び欠陥対策

<講義内容>
鋳鋼品の生産技術教育として、一般に難しいと言われている鋳鋼品の鋳造欠陥対策について鋳造方案的な観点から、砂食い・ガス欠陥、割れ欠陥などの欠陥毎に要因の摘出の仕方とその対策のやり方を実際の製品の実例を使って説明している。
講義のはじめは、実際の建設機械の鋳鋼品の方案の事例を説明しており、後半は鋳造欠陥対策の事例として講師が建設機械用の鋳鋼品を長年製造現場で実際に実施して来た実例に基づいており、対象部品は異なっても「鋳造欠陥対策の考え方、アプローチの仕方」は活用できるものであり、鋳造技術者として取得すべき事項について説明している。
講師名
コマツ 生産本部 生産技術 開発センター 主任研究員 山田 恒二

【第6部】精密鋳造の生産技術

1.各種精密鋳造法の特徴と展望

<講義内容>
  1. 精密鋳造の究極の目的は鋳放しで使うことにあり、インベストメント(ロストワックス)法、セラミックモールド法、石膏型鋳造法などが発展してきた。将来的には、精密鋳造品の更なる高級化志向やコンピュータの活用がターゲットとされる。
  2. 石膏型鋳造法のプロセス、模型と離型剤、石膏材料(非発泡石膏、発泡石膏、埋没石膏)と石膏スラリの特性、利用法。
  3. セラミックモールド法(ショウプロセス、CMプロセス、ユニカスト、HFCプロセス)の特徴とコンポジットモールドによる大型鋳物への適用。
  4. ユリアパターンによる大型インペラー(φ1200×500H、1.3t)、ダクタイル鋳鉄によるスクリューコンプレッサー用ロータ、カッタービットなどの製造例。
  5. インベストメント法による大型オープンインペラー(φ1050×400H、280kg)の製造例。などについて解説、説明がされている。
講師名
元(株)リケン 井上 浩

2.ラビッドプロトタイプ模型の精密鋳造への適用及び実演

<講義内容>
  1. ラピッドプロトタイプ(RP)とはデータを形にするもので、データの加工プロセスとステレオリゾグラフィ(STL)について。
  2. RP法には光造形法(光硬化)、粉末固結法(焼結)、溶融物堆積法(押出し法)、薄板積層法(紙造形)などがあり、その原理と利害得失。
  3. 鋳造への応用としては、鋳造用模型として砂型鋳造用木型のように繰返して使うか、精密鋳造用樹脂模型のように使い捨てで利用するか、などのように使い方が異なるが、RPで直接模型を作る方法と直接鋳型を作る方法の特徴と利害。
  4. 精密鋳造で消失模型として使う場合は模型を製作するための金型が不要であるが、模型の材質と熱膨張や変形、脱模型後の残渣の多寡、生産性などの問題と対策。
  5. 直接セラミックシェル鋳型を作る方法。
  6. エポキシ系樹脂を使う光造形装置と紙を積層するシート造形装置の機能や造形プロセス。などについて解説、説明があり、また光造形装置による模型の製作およびシート造形装置による模型の製作と取出しの実演がある。
講師名
新東工業(株)豊川製作所 今村 正人
(財)素形材センター 田邊 秀一

3.ロストワックス法の製造実例

<講義内容>
  1. 精密鋳造法の定義、ロストワックス法の歴史、工業製品としての精密鋳造品の品質、世界の精密鋳造市場。
  2. 精密鋳造用ワックスの種類、性質、生産性、脱蝋、再生など模型材料の特性およびソルブルワックス中子およびセラミック中子を用いたパターンの成形法。
  3. スラリの基本成分、バインダーの種類とその特性、耐火材の種類や添加剤によるスラリとシェル鋳型の改善、恒温恒湿環境の必然性、スラリ特性の管理など基本的な鋳型の特性。
  4. オートクレーブ脱蝋とショックヒート脱蝋の利害やワックスとシェル鋳型の脱蝋への適合性、シェル鋳型の焼成目的、焼成時の注意事項。
  5. 高周波炉の構造と原理およびその特性、炉材用耐火物と物理的化学的適合性、投入材料の種類と利点および欠点、秤量の精度、溶解順序、炉前分析。などについて解説、説明がされている。
講師名
小林鋳造 技術研究所 小林 良一

4.精密鋳造法の実習及び討論

<講義内容>
  1. 精密鋳造用のバインダーには水系とアルコール系があり、アルコール系バインダーを利用するには、エチルシリケートとアルコールの混合溶液に水と塩酸を加えて加水分解してから利用する。これは硬化剤を加えるとゲル化して硬化するのでスラリ用のバインダーだけでなく、セラミックモールドの製作にも利用できる。ここでは加水分解液の調製と加水分解した溶液に硬化剤を加えてゲル化させる手順のデモと実習。
  2. 水性のバインダーであるコロイダルシリカにジルコン粉末と界面活性剤を加えてスラリを調製するデモ、RP模型の修正や湯口の取付けなど模型を製作するデモと実習、模型の洗浄と模型をスラリで被覆する作業およびスラリを被覆した模型のサンディング(スタッコイング)など初層コーティング作業のデモと実習、高周波炉による鋳鉄の溶解、インペラー用シェル鋳型への注湯、鋳造したインペラーの砂落し。などのデモと実習がある。
講師名
元 石川島播磨重工業(株) 松野 一弘

【第7部】鋳鉄の品質管理

1-1.新しい品質管理

<講義内容>
新しい品質管理とは、品質管理的に考え、品質管理的に仕事をしていくことであり、ものつくりの思想革命、意識革命である。
その内容は、1.全員参加、2.品質第一主義、3.マーケットイン、4.事実・データ-での話合い、5.次工程はお客様等であるがそのキーポイントを説明している。
次に、それらの進める上で管理とはどのようになければいけないかについて、管理サイクル、方針、重点思考の考え方や「QC7つの道具」の使い方、「QCストーリー」を使っての問題点解決法について解説している。
また、これからはかつてのように少品種、多量生産とはいかないので、変種変量に対応した生産改革をしなければならず、それにはどうしたらよいかを説明している。
講師名
小林技術士事務所 小林 良紀

1-2.統計的手法の活用

<講義内容>
鋳物造り現場の品質保証は徹底して各工程で作り込まねばならず、それには4つの基本がある。また、品質の良さ悪さを計る目安として「統計的な考え方」が必要で、これが「目で観る管理」になることを解説している。さらに、品質管理の進め方として5ゲン主義、PDCA、結果デプロセス管理、源流管理・歯止めの徹底等を説いている。
これらを推進していく上での道具としては、QC7つの道具が適当であり、パレート図、特性要因図、ヒストグラム、管理図、散布図、層別等について詳しく解説し、その具体的な使用法を説明している。また、鋳鋼品の出来栄えをチェックする場合に使用する「日常標準作業チェックポイント」を示し具体的なチェック方法を述べている。
最後に、これらを用いて統計的に品質を管理する方法について説明している。
講師名
小林技術士事務所 小林 良紀

2.鋳造品への非破壊検査技術の適用

<講義内容>
鋳造製品は同じ工程、方法で製作しても、各工程での作業の小さなバラツキが、最終完成製品の欠陥の有無を左右する。したがって顧客の要求品質を満足しているかを確認するのに検査を行うが、目でみて分かる検査は目視による外観検査ですむが、目では見つけ難い細かな割れや、内部にある欠陥については非破壊検査法により検査せざるを得ない。品質保証をしていく上で、非破壊検査法は重要な技術である。非破壊検査法としては,浸透探傷検査、磁粉探傷検査、放射線透過試験、超音波探傷試験等があり、各々の検査方法の解説、試験法の利点(どのような欠陥を発見できるか、検査結果は判定しやすいか等)、欠点(どのような欠陥は見つけ難いか、検査時の作業環境は問題ないか、扱いやすいか、費用はどうか等)を説明している。また、適用事例として構造用鋳鋼品、高速回転部品用鋳造品等の検査法について説明している。
講師名
川崎重工業(株)製造部 精鋳グループ 水野 充

3-1.鋳造欠陥への対策

<講義内容>
鋳物を作る場合、数多くの作業工程があり、その工程中に欠陥を生ずる要因が多数潜んでおり、鋳物の不良原因を調べることはなかなか難しい。欠陥の調査において大切なことは、事実を良く確認し判断することである。また、鋳物の欠陥は材質や、種類等によって本質的に異なることは比較的少なく欠陥の多くは共通した原因であることが多い。この講義では先ず国際鋳物技術委員会での26種類の欠陥を上げその原因関係を表で説明し、なおかつ、その中の「鋳張り」「巣」「割れ」「鋳肌不良」「湯回り不良・形状不完全」「寸法不良・形状不良」「介在物・材質不均一」等の不良現象について解説している。また、「引け巣」「ブローホール」「すくわれ」「押し込み」「割れ」について、原因、対策について述べている。
講師名
自動車鋳物(株)技術開発室 技術開発グループ 佐藤 和則

3-2.鋳造欠陥への対策、造型技術

<講義内容>
先ず不具合として「焼付き欠陥」「ベーニング欠陥」「変形」「浮かされ」「割れ欠陥」「介在物欠陥」「ピンホール欠陥」「ひけ欠陥」「湯境」についてのSEM観察、EPMA分析またはEDS分析による結果からの原因調査結果、および対策について解説し、次に造型材料とコストダウンということで、鋳物砂の品質管理とコストダウン方法の解説、フラン鋳型用樹脂について、アルカリフェノール鋳型用樹脂の品質管理と、コストダウンについて述べている。また、生型の砂についての説明、品質管理方法およびコストダウンに関する説明を述べている。同じように、中子についてもシェル鋳型、コールドボックス鋳型を取り上げその品質管理、コストダウン方法について解説している。  最後に、砂回収と産業廃棄物に対し解説しセメント原料、路盤材への利用についても述べている。
講師名
(株)ツチヨシ産業 黒川 豊

4.鋳造欠陥への対策、溶解技術

<講義内容>
鋳物欠陥の対策を行うにあたっては、「現物」「現場」「現実」の3現と「原理」「原則」2原が重要だといわれている。慢性的な不具合を減少させるためには、特に、原理原則の理解が重要である。また、原因究明、対策には現場の情報が大切で、この情報を掴むことによって対策をしていく流れを説明している。
次に中・大物ねずみ鋳鉄の不具合例として「成分不良による欠陥」「正チル・逆チル」「鉛欠陥」、「窒素欠陥」の不良状況、解説、対策について解説し、次に、球状黒鉛鋳鉄の欠陥として「内ひけ巣、外ひけ巣」「チャンキー黒鉛」「整列黒鉛」についての状況、原因、対策についての解説、ピンホールについても解説している。その他、不良対策に対する考え方等についても述べている。
講師名
(株)木村鋳造所 菅野 利猛

【第8部】鋳鉄の複合化と先端技術

1.新しい材料開発と今後の動向

<講義内容>
鋳造材料をより機能化すると共に、異種材料と複合化して、その性能をより一層向上させようとする試みが最近活発に行われている。複合化する材料や目的に応じて、種々の方法が研究されてきている。
本講義では、主として鋳造技術を用いた複合化を中心に、そのプロセス、各種接合法による複合化プロセスと表面改質法、さらにそれらの応用について説明する。
講師名
岩手大学 工学部 教授 堀江 皓

2.鋳造材料を利用した表面改質の事例及び解説

<講義内容>
アルミニウム合金の硬化には、鉄鋼材料で利用される焼入れとチル化を適用できない。その表面硬化は、鋳ぐるみや部分複合化、硬化層の表面被覆、表面合金化に分類される。鋳ぐるみや部分複合化は厚い表面硬化層が得意であり、信頼性向上と低価格化が課題である。溶射とめっきに代表される表面被覆は、組織制御性と廃水処理が課題である。レーザーなどを熱源とする表面合金化は、表面粗さの改善が課題である。鉄鋼材料には高強度で低価格という決定的な特徴があり、アルミニウム合金は、軽量化だけでは鉄鋼材料の代替材料とはなれない。独自のアイデアを盛込んだアルミニウム合金に対する表面硬化プロセスの研究開発が強く求められている。
講師名
豊田工業大学 教授 恒川 好樹

3.鋳造技術を利用した複合化技術の事例紹介及び解説

<講義内容>
素形材製造の中で最も安価に高速で成形加工できる鋳造プロセスは、鍛造や焼結、溶接法などとともに、貴重な基盤技術として21世紀に正しく伝承されなければならない。本講では接合や表面改質を除く、狭義の鋳造プロセスを利用したマクロ的な新しい複合化技術について、主に鋳鉄材料を対象にして具体的に事例を紹介する。鋳鉄材料が金属基複合材料であることを認識すれば、複合材料に共通する適正な合金設計や組織制御技術によって、新しい高機能材料の創製が可能である。このような立場で、まず諸要求を満たす組織傾斜型複合鋳鉄の製造法として、組織の傾斜化、鋳鉄の合わせ湯法、傾斜黒鉛組織の比較について説明し、具体的に黒鉛組織傾斜化に関するいくつかの特許例を示す。
講師名
東北大学大学院 工学研究科 助教授 大出 卓

4.鋳造材料を利用した表面改質の実習

<講義内容>
近年新素形材として複合材が注目され、鋳造品の複合化への展開が図れるにつれて、多くの研究が行なわれている。本実習においては鋳ぐるみ工法の理論、表面改質工法の理論及び商品化事例についての講義と従来の研究データに基づいて実際に溶解炉にて球状黒鉛鋳鉄を溶製し、あらかじめWC粉末を塗布した鋳型に溶湯を注湯し、鋳ぐるみ実験を行い、鋳物表面改質の状況を顕微鏡観察によって確認する。
講師名
アイシン高丘(株)鋳鉄開発部 技術顧問 出津 新也
(財)素形材センター 開発研究所 高橋 昌太郎
一般財団法人素形材センター
〒105-0011
東京都港区芝公園3-5-8機械振興会館301号室
TEL.03-3434-3907
FAX.03-3434-3698
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